でも、あんたは手放した。
あんなに泣かせて、あんな顔させて。

もうそんなの俺だって見たくないんだよ。

それであんたの前から姿を消したのだって。


忠告、だったのになあ。



『いいの?俺、あいつ取っちゃうけど』



「俺には関係ない」なんて言うなら、なんであんなにも俺を睨んでたんだよ。


すっごい殺気だったよ?

思わずそのまま俺を殴ってくるんじゃないかってくらい。

別にそれでも良かったけど。



「あー、やばいね。…このまま襲っちゃっていい?」


「ばっ、馬鹿なこと言うなよ!お前ほんとそーいうとこだよっ!」


「あれ、チビはお呼びじゃないんだけど」



でもやっぱあの有沢 夏実はないって。

どう見たって青葉ちゃんのほうが可愛いじゃん。



「きゃ…っ!」



グイッと腕を引いて引き寄せれば、今度は女の子の声。

ほんっとに、飽きない。



「ほんと、そーいうとこ」



馬鹿みたいに純粋で可愛い。

髪が短いままの理由だって、俺はすぐにわかっちゃったよ。


男にも女にもなれない、この子。



「好きだよ。青葉ちゃん」



でも俺が女の子に戻してあげる。

あいつのことなんか忘れさせるくらいに。


……なんて