それにしても山しか無いし、すっごい寒い。
空気の冷たさが東京とは比べ物にならない町だ。
よく生きてるね本当。
……死なれたら困るけど。
「それで、凛っていう私の友達がいてね。その子は男子も殴っちゃうような子なんだよ」
「それ男?」
「ううん、女の子!アッキ…秋斗くんもさっき見たでしょ?ポニーテールの!」
「俺、青葉ちゃんしか目に入ってないみたいでさ」
「……また…そーいうこと言う…、」
これ、本当なんだけど。
俺あのあと学校放り出して着替えて、すぐに新幹線乗って、この場所に来て。
自分でもびっくりだよ。
まさかそんなにもこの子のことを好きになっちゃうなんて、俺がいちばん驚いてる。
「明日からもメールするよ。電話もね」
「う、うん、」
あー、やばい。
離れたくないなぁこれ。
てかチビってこんなに可愛かったっけ?
確かに悪くはなかったけど、セーラー服着てると余計にそう見えるのかな。
「なっ、なにするの…?」
「え?なにって、ちゅーだけど」
「さ、さっきしただろ…!」
“だろ”って。
まだ男が抜けてないみたいだ。



