「じゃあもう、アッキーじゃなくていい。トモダチも解消。だって今のお前は女だもん。
さすがに俺も今回は無理やり男ってことにもできそうにない」
アッキーにだけは言おうって思ったんだよ、引っ越す前に。
でもぜったい止めてくれちゃうだろうから。
そしたら私はズルズルしながら、それすらも言い訳にしてあの場所にいた。
そんなの、卑怯だよ。
私は結局、いつも自分のためのエゴで動いてる人間なんだ。
「だからまた新しく作ればいい。俺は今、女のお前と仲良くなりたいんだけど」
「…あたら、しく…?」
「そう、新しく。ちがう形になればいいんだよ」
優しく微笑んで、そっと涙を拭ってくれる。
この人は本当にアッキー…?
あの廣瀬 秋斗なの……?
『安易にトモダチになれそうとか思わないほうがいいよ、チビ』
『トモダチとオンナは信用してない。これは確実』
そう言ってた男と同一人物なの…?
「また…友達になってくれるの…?」
「んー、ちょっと違う」
「ち、違うんだ…、」
やっぱり友達には戻れないよね…。
そんなふうに落ち込む資格だって私にはないのに。
こうしてまた変わらず話してくれているだけで、十分なのに。



