「今はもう、“青葉ちゃん”…か」
できればチビって呼んで欲しいなんて、そんな身勝手なこと言えるわけがない。
でも“青葉ちゃん”、なんて。
そんな他人行儀なのは嫌だ。
「ショックだったな。休み明けに教室行ったら、お前の席も荷物も無いんだもん」
アッキーはどんな気持ちだったんだろう。
そのとき悲しかった…?
寂しかった…?
友達だと思ってた奴がいなくなったときって。
するとアッキーは、ゆっくり身体を離して見つめてきた。
「…でも会えたから、ぜんぶ許すよ」
「っ、…ごめん…っ、本当にごめん…っ」
アッキー言ってた。
母親が友達と出かけたきり、帰ってこなかったって。
私は彼にまったく同じことをしてしまったんだと。
泣く資格すらないのに。
泣きたいのはアッキーのはずなのに。
「もうトモダチの資格ない…っ、アッキーって呼ぶ資格もない…っ」
でも、あの学校には居れなかった。
先輩は私の顔を見るだけで、私の声を聞くだけで、私の名前を見るだけで。
きっとあの人を思い出してしまうから。
もっと苦しめてしまうから。



