いま、そんな音した…?え、鍵閉めた…?


理科準備室は繊細な用具なりが置いてあるから、中から鍵がかけられる仕様になっていて。

しまった、それならさっき入ったときにかけておくべきだった……。



「───久しぶり、チビ」


「ぎゃあああ───んぐっ!」


「静かに。誰かに見つかったら面倒」



口元が手で塞がれてしまった。


アッキーだ…。
目の前に、若干髪が伸びたアッキーがいる。

いつも一緒のときはあまり気にしていなかったけど、離れたら分かる。


そしてスッと、手のひらは離れた。



「…あ、…アッキー…、」


「俺のこと覚えててくれたんだ」



いや、わかる。

アッキーのその顔、完全に怒ってるときの顔だ。



「まさかあんな呆気なく姿消されるなんてさ。いやー、やられたよ」



笑ってるけど笑ってない。
私、そーいうアッキーをいっぱい見てきた。

伊達に親友やってたわけじゃないから。



「ねえ?チビ」



アッキーはどこか伺いながらも、膝を抱える私の目の前にしゃがんだ。

少し鼻が赤いのはたぶん、この町の寒さに慣れていないからだろう。