「藤城 理久くんだろう?1度だけ俺と君は会ったことがあるんだが、覚えていないかな。
印象的な顔立ちをしていたからよく覚えてるよ。大きくなったなあ!」



なにを、まるで自分の息子のように言ってるの、この人は。

気持ち悪い笑顔だ。
その嘲笑うような顔が、蔑むような目が。



「良かったな、青葉。彼に会えたんだな」


「……は…?」


「あれ?知らなかったのかい?」



先輩が聞き返すと、男は首を傾ける。


そうして、笑う。
とても楽しそうに、笑う。

それが何よりの恐怖だ。



「娘なのに男子校に通う、だなんて。それでも俺も君には感謝してるから、
ふたりが無事に再会できたみたいで父親として嬉しいよ」



感謝…?嬉しい…?

そんな顔で言う言葉じゃない。


今すぐにでも先輩をここから出させたいのに、私も動けなかった。

だって先輩の、そんなにも怒りに狂った顔を見てしまったら。



「それで今度は、まだうちに何か用かな?金ならあのとき散々払ったつもりなんだがね」