「脱がされた…?」


「だ、大丈夫だよアッキー。俺ね、1回蹴ったらちゃんと当たったから」



「アッキーに教えてもらったやり方ができたんだよ」なんて、笑ってるそいつ。

それでもはだけた制服にネクタイは緩めれて、シャツから覗いた細くて白い肌。


俺が近づくよりも先に廣瀬は駆けつけ、立ち上がらせるのかと思いきや───



「わっ、アッキー…?くるしいっ」


「馬鹿じゃないのお前。…だから俺の傍を離れるなって言ったんじゃん」


「…でもさすがにトイレまではさ、行けないよ俺」


「…おまえ知らないの?連れションって男の醍醐味だからね」



抱き締められた腕のなかでも、小鳥遊 青葉は笑っていた。


笑っていなければ保てないんだろう。

カタカタと震える身体を誤魔化すには下手すぎる。



「アッキー、今度は逆に返り討ちに遭いそうになった場合の対処法おしえてくれる?」


「…おまえ本当さ、そーいうとこなんだよ。俺がぜったい守ってあげるから必要ない」



こいつらは友達のはずだろ。
つーか、男と男だろ。

廣瀬がこんなことする奴だとは知らなかったし、想像すらしてなかった。