「騒ぐんじゃねーよ。おまえ女なんだってな」


「俺は男だって言ってるだろ…!!やめろ…っ!!」



廣瀬と一緒にいろっつってただろ。

ひとりになることだけは避けろと、毎日のように言ってたってのに。


ステージ裏、そいつを囲う数人の男は覆い被さるように服を脱がしにかかっている。



「やだ…っ、やめて…っ!」



ほら、女みたいな反応。

そんなことしたら逆効果に決まってんだろ。



「なにしてんだよ」


「ふじしっ───ぐは…ぁっ!!」



完全に反応するよりも前に蹴りを入れると、1人は横たわった。

今にも逃げようとするもう1人の襟を掴んで、顔面を何発も殴る。



「先輩もうやめてっ!発作が起きるから…!俺はもう大丈夫ですから…!」



だからなんでお前が知ってんだよ。

お前はあいつの兄貴だろ。
妹のことだってあまり知らねぇはずだろ。


俺の身体のことを知ってんのは、片手で数えられるほどしかいないはずなのに。



「す、すみませんでした…っ!!」



這いつくばりながら逃げる1人は、出口を塞ぐように現れた新たな男に止まった。

その目は見る見るうちに恐怖へと変わってゆく。



「あ、アキさん…!?」


「…なにしてんの?」



ドガッ───!!!


容赦ない鈍い音を響かせて、倒れた男を踏みつけながらも目の前の光景に目を見開いた廣瀬 秋斗。