キミの世界で一番嫌いな人。





どうしてわかるの…?

そう言わなくても伝わるのが親友の特権だろう。


夢を見た。
すごく幸せな夢だった。

私は先輩と一緒に走ってて。



「俺は女の子の姿でね、手つないで笑ってたんだ。…でもなぜか先輩は俺の腕を離そうとして、」



嫌だ、と思っても声が出なくて。

とうとう手は離れてしまった。


先輩はずっとずっと先、私が手を伸ばしても届かない場所へたったひとりで行ってしまおうとする。


どうしたらいいかわからないから、私はただその場に座りこむしかなかった。



「でもそのとき、俺の背中を押してくれた人がいて。…誰かわかる?」


「…誰だろ、有沢 夏実だったりして」


「あははっ、違うよ。…その人はね、」



その人は私に言うんだ。


俺はぜったいお前を見捨てたりしないし、泣いたら必ず傍にいてあげる。

あの人に蹴られたぶんだけ、俺があいつを蹴るよ。

だからお前は自分の気持ちに正直に生きればいい───って。



「いま、俺の目の前にいるよ」