キミの世界で一番嫌いな人。





───…ぱちっ。

チュンチュンと、窓の外から聞こえる心地の良い音にまぶたを開けば。



「………なぜ…?」



無造作に流れる黒髪と、無駄に整った顔立ちが目の前。

なぜか私のお腹回りに回されている腕。


どうしてかアッキーとベッドで寝ていた朝。



「……おはよ」


「お、おはよ…、アッキー」



じーっと見つめていれば、その視線に気づいたのかダルそうに目が開かれた。

そしてふっと微笑む廣瀬 秋斗。


いや私、ソファーで寝てたよね…?

アッキーが変なこと言うから、あのあとそのまま夢の中へ入ったというのに。



「アッキー……、どゆこと…?」


「さあ?お前が寂しくなって勝手に俺のとこに来たんじゃないの?」


「…え、そうなの?夢遊病的な…?」


「さぁね」



スッと伸ばされた手が、私の頬に触れた。

なにかを確認するように撫でて、アッキーはポツリとつぶやく。



「…なんか夢見た?」


「……うん、」


「当ててあげようか。…藤城サンが出てきたでしょ?」