「…なんだよ、お前。俺が可哀想って思ったの?」
「ううん、違う。俺はこんなんじゃ親友って言えないって…思ったんだ」
そんなのもう親友だろ。
だって俺、こいつの背中に同じように手を回してる。
「ごめんアッキー。俺、いつも助けてもらってばっかで…」
「…楽しいよ、毎日」
なに、こいつ泣いてんの…?
鼻を啜る音が微かに聞こえてくる。
「今日はアッキーが眠るまでこうしてあげる」
「…襲われたいの、お前」
「あははっ、俺は男だよアッキー」
いや女じゃん。
あの合コンの日以来、俺はオンナと遊ぶことも一切しなくなった。
好きな人とじゃなきゃ駄目、なんて。
お前のその言い付け、ずっと守ってるんだよ俺。
「俺、おばさんとおじさんがアッキーの本当の両親じゃなくても…、
アッキーはここで育ったから、こんなに良い奴なんだろうなって思ったよ」
良いヤツなんかじゃないよ俺。
お前が思ってるほど、いいヤツなんかじゃない。
でもお前がそう言ってくれるからいいかなって、少しだけ思ったり。
「…もう寝ろよ。これ以上俺の近くにいると、本当に手出されても知らないよ」
「アッキーってやっぱりホモなんだね…!」
「…もういいよそれで」
スッと身体を離して、ソファーに戻っていくチビ。
毎日学校ではいじめの標的とされてるし、それでいていつからかこいつは自分のことで泣かなくなった。
前はあんなにすぐ泣いてたってのに。
無理して男になってるみたいで、頑張る頑張るって言って、俺はほんとは見てられない。



