殴られれば骨が折れるかもしれないし、逃げたってわかりきってる。
明らかに絶望的な生活が始まる予感だった。
「でさ、結局おまえはどうしたいの?」
手すりに寄りかかっていたアッキーは、腰をあげて私に近づいた。
私は、どうしたいのか…。
甘い考えかもしれないけど、できることなら先輩にバレずに今まで通りに過ごせられれば一番いい。
それで先輩が卒業したら、私は転校する。
「…俺、…男として頑張りたい」
「…頑張る?どうやって?」
「…いじめられても、耐える。脱がされなければバレないだろうから。…男で通す」
女だと噂が回ったとしても、それは噂にしか過ぎないと思わせることはできるはず。
それがどんなに過酷だとしても。
耐えて逃げて、最終的に隠し通せれば噂はいつの間にかスッと消えるだろう。
きっと噂なんて、そんなものだから。
「できるの?それって相当な精神持ち合わせてないとキツいよ」
「…わかってる」
「まぁ、さすがに今回は俺の名前出してくれていいけど」



