思わず涙がぶわっとあふれる。
そんなものを見た友達は、困ったように眉を下げて掴んでいた力を緩めた。
「俺は何も見てない。お前は男にしてはチビでどんくさくて弱っちぃ俺の…トモダチだろ?」
「う、うんっ」
「なんかそれ、女っぽい返事だから却下」
「…おうっ!」
無かったことにしてくれたのだ。
女じゃなく、男としてなら受け入れるって。
まさか“トモダチ”って言葉がこんなにも彼から出るなんて。
「…俺、アッキーと友達になれて良かった」
腕は離されて、自由が戻った。
空気だってさっきまでのものとは比べ物にならないくらいに軽くて。
「あー俺、見たいテレビあったのに忘れてた」なんて、変わらず言ってくれる。
「アッキー、こっち向いて!」
「ん?」
カシャッ───。
私の友達。
いや、俺の、友達。
「お前さぁ…、イケメンに撮れてなかったら殺すからね」
「それは大丈夫!アッキー格好いいよ!この修学旅行でたくさん女の子から逆ナンされてただろ!」
「逆にお前は老人に客引きされてたもんね。俺がいなかったらぜったい引っかかってたし」
「あははっ。ねぇアッキー!今度は2人で撮ろー!」
それは、今まで撮ったどの写真よりも輝いている1枚だった。
「見ろよアッキー!めちゃくちゃいいの撮れた!」
「…送ってそれ」
「もちろん!」
どこからどう見ても男同士の友達にしか見えないくらいに───。
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