アッキーは言わないでいてくれたから、クラスメイトだっていつもどおり。
そんな友達を、私は裏切ってしまったんだ。
「…まさか本当にチビが女だとは思わなかったけど」
はははっと、空元気な笑い声が響いた。
もうアッキーは今までと同じように私を見てはくれてない。
「…やめるの?学校」
「…湊川は……、男子校だから…」
さすがにこのまま無かったことになんか、都合が良すぎる。
アッキーがどう出るかは分からないけど、退学になるまでは時間の問題だ。
「でも、やめたくない……っ、うぅ…っ、ぅ…っ、」
「…泣いたって何も解決しないでしょ」
その声はアッキーじゃないみたいに優しかった。
余計にポロポロと、情けなくも握ったこぶしの上に落ちる涙。
「だって俺…楽しかった…っ、みんなを騙してたけど、でも俺…っ、」
「…“俺”、ねえ、」
思い出すのはやっぱり体育祭。
サッカーではシュートを決められなかったし、騎馬戦もよくわからなかったし。
それでもアッキーは友達になってくれて。
クラスメイトも“小鳥遊”って呼んでくれて。
「じゃあ2択。湊川に居たいか居たくないか、…どっち?」
「……いたい…、アッキー、俺、湊川に居たい…っ」
今ではもう、“アッキー”って呼んでも返事をしてくれる。
それに私には役目があるから。
やらなきゃいけないことが、あるから。



