「…三琴先輩」
ドォーン…と、遠くから花火が上がる音がする。
この位置からだと木の陰から花火の上半分が見える程度だけど、眩い光だけはこの位置まで十分届いていた。
ぬくもりから逃げるように身体を離して名前を呼ぶ。先輩は「ん」と短く返事をし、私の瞳を捉えた。
「…先輩は、私とはちがいます。まだ、希望がある」
「…、紘菜ちゃん、もしかして春と何か話したの?」
「、いえ。でも、確信はあります」
三琴先輩には幸せでいてほしい。
なんとなくそれが、私にとっての幸せにも成り得る気がしている。
───だから。
「……春先輩はまだ三琴先輩のことが───…っ」



