手をつないであるくカップルも、浴衣を着る男女も、私にはきらきらと輝いて見えて眩しい。
私服姿の私と三琴先輩は、はたから見たらどう見えているのだろう。
付き合っている男女に見えるだろうか。
春先輩と三琴先輩は、だれがどうみてもお似合いのカップルだった。
じゃあ、私は?
私なんかが三琴先輩の隣を歩いていていいのだろうか。
そもそも、春先輩がこの瞬間をみていたら、きっと不快にさせてしまう。
浴衣を着るか着ないかの問題ではなかったのかもしれない。
こんな風にうじうじと悩むなら、最初から一緒に行く約束なんてしないほうが───…
「翔斗くん、あれ取って」
「うん、いーよ」
「やったぁ」
「青花(せいか)、へんなもの欲しがるね」
「かわいいよ、あのぬいぐるみ!」
射的のお店にたどり着いた時に聞こえた、覚えのある名前、声、───…姿。



