「そういえば、寛太先輩と花火はしなくてよかったんですか?」

「うん。寛ちゃん、いま親の実家に帰ってるらしくていないんだよね。紘菜ちゃんと花火行けなかったら俺今日もひとりで勉強漬けだったわ」

「そうですか…」

「あ。射的ある、俺やりたい」

「…、じゃあ行きましょう。見たいです」





りんご飴を片手にもち、他愛ない会話をしながら歩く。



花火の時間まではあと数十分だ。


まわりの人々はだんだん花火を見るための良いスポットにむかいはじめていて、来たばかりの時よりは、屋台が並ぶ通りは人通りが減っていた。



屋台をめぐり、縁日をたのしみ、私たちはずっと 一定の距離感を保っている。