「すみません、家まで迎えに来させてしまって」
「いーのいーの。俺が言いだしたんだし」
今日は花火大会だ。
この間エナちゃんと浴衣を買いにいたのは幻でも何でもない。今日のためにエナちゃんと一緒に悩んで買った。
けれど、私が今着ているのは、浴衣みたいに動きにくくなくて、下駄みたいに歩いても痛くならなくて、長い髪の毛は特別凝ったアレンジをすることなく、「暑いから」という理由でポニーテールにしてある。
三琴先輩に見てほしくて新調した浴衣は、今日は着ることができなかった。
……いや、正確には“着る必要がなかった”、かもしれない。