春先輩もお友達さんも、突然泣き出した私にぎょっとしているじゃないか。

ぼやけた視界の隅にうつる真渡くんにだってきっと見られているに違いない。




「…あの、ごめんなさい、急に。気持ち悪いですよね、余計なお世話ですよね。分かってるんです、ごめんなさい」

「……、」

「でも、もしまだ春先輩も三琴先輩のこと想っているなら……ちゃんと話をした方が良いと思います」





顔は上げられなかった。


「すみませんでした」と最後に謝って、返事を待たずに私はトイレへと駆け込む。



どうせ掃除をしようと思っていたし、レジには真渡くんがいるし───…

なにより、こんな涙に濡れた顔で接客なんてできっこなかった。