ずるいよ先輩、甘すぎます







気付いたら、私はそう声をあげていた。



「え?」と私の方を見た2人と目が合う。私はパンを整理していた手を止めて立ち上がり、彼女たちの前に向かった。




「え、だれ…春、しりあい?」

「いや……でもなんか、どこかで…」

「私、2年の大槻です」




2人の会話を遮って名字を名乗る。




面倒ごとはきらいだし、私は三琴先輩の彼女でもないし、彼に片想いをしているわけでもない。



だから、彼がいないところで春先輩の本音を聞いて、どうして私がこんなふうに悲しくなっているのかも、正直よくわからない。




私のお節介なのだと思う。

三琴先輩が知ったら、余計なことしないでよって怒られてしまうかもしれない。





私はただの後輩だ。

三琴先輩にとっての私は、きっとそれ以上も以下もない。





けれどどうしても───…彼女の本音に、私は言いたいことがあった。