「え、そうなの?」
「なんか、なんだろう…物足りなかったのかな、私。三琴って優しいしモテるしさ、私じゃなくてもいいのかなって思ったら、私に向けられてる「好き」の価値がわかんなくなっちゃって」
「で、そのタイミングで元カレと連絡とり始めたってわけ」
「うん…なんか、逃げみたいなものかもしれない。三琴にいつか捨てられる未来がどうしてかすごい簡単に想像できちゃって。…それが辛かったんだよね、」
春先輩は苦笑いのようなものを浮かべていて、お友達さんも、つられて曖昧にわらっている。
けれど次の瞬間には、「私これにしようかな」「じゃあ私はこれ」と呑気な会話をしながらアイスのショーケースに手を伸ばし、2人は片手にひとつずつアイスをもってレジに向かおうとしていた。
――三琴って優しいしモテるしさ、
わかりますよ、三琴先輩優しいしモテますよね。
だけど、私が共感できるのはそこまでだった。
「……っ、まってください」



