トイレ掃除に行くはずだったのに、私は春先輩とお友達さんの会話が気になってしまって、咄嗟に近くのパンコーナーの整理をするふりをしてその場にとどまった。 なにしてるんだ私は……。 ちらりとレジの方に目を向けると、イヤな偶然で真渡くんと目が合ってしまった。 「なにしてんの?」とでも言いたげな瞳で私を見ている。 トイレ掃除だよね、そう、私がそう言ったんだ。 だけど、でも会話の続きが気になって───… 「………三琴は多分、あんまり私のこと好きじゃなかったと思うから」