アイスのショーケースを眺めながら話をするのは、さっき来店したお客さんだろう。
その声につられてゆっくりと視線を向けると、そこには同じ学校の制服を着た女子高生が2人いた。
そのうちのひとりに、私は身に覚えがある。
「あー、まあ順調かな」
「あの三琴くん振るのなんて春にしかできないからね、普通に」
「いやいや。あっちだってもう彼女できてるでしょ。なんか気にかけてる女の子いるみたいだし」
───…やっぱり。
一瞬記憶違いかと思ったけれど、会話を聞いて確信した。
彼女は、“三琴先輩の元カノ”である春先輩だ。
夏休み中に関わらず制服姿ということは、学校で受験対策の課外があったのだろう。
時刻は20時を回ったところなので、どこかで勉強でもしていたのだと大方予想はついた。



