ずるいよ先輩、甘すぎます








仕事中なのにこの男は今日もよく話しかけてくるなぁ。


話すこと自体が苦なわけではないけれど、そろそろトイレ掃除という名の逃げに走ろうかな。





「あ、じゃあ私はそろそろ」

「トイレ掃除?まじでもう、大槻さんの逃げ方が分かってきたんだけ……、」

「あ」




自動ドアが開き、女子高生が2人 入ってきた。


反射的に「いらっしゃいませー」といい、強制的に真渡くんとの会話を切らす。




三琴先輩の時といい、トイレ掃除に行こうとするタイミングでお客さんが来るのはなんなのか。


いやしかし、上がる時間まではまだまだ時間があるし、レジは真渡くんにまかせてとりあえずトイレ掃除にいこうかな。





「トイレ掃除してきます」

「はいはい、いってらっしゃーい」




真渡くんに一声かけて、私はお店の奥に位置するトイレに向かった。




「そういえば春さ、新しい彼氏とどうなのー?」





その途中。


そんな会話が耳に届き、私はぴたりと足を止めた。