ずるいよ先輩、甘すぎます










「エナちゃんにも来てほしかったぁ」

「今度ね。じゃあ、私帰るから。気を付けて行ってきな」

「わかったぁ。ばいばい」





放課後。


そういってエナちゃんと下駄箱でわかれ、帰っていく彼女の背中を見送ってスマホを開く。




16時5分。

三琴先輩から連絡は特に入っていない。




ホームルームが終わってすぐのこの時間の昇降口は、下校する生徒であふれかえっている。



下駄箱に寄りかかり、時々すれ違うクラスメイトに手を振りながら先輩が来るのを待っていると、見たくもない“彼”の姿を見つけた。



目が合いそうだったので慌てて俯いてスマホに視線を戻した。



きっと気付かれていない。セーフだ。