ラーメンを食べる手が止まった。箸で掴んでいた柔らかい麺が、ずるずると汁の中へ帰って行く。
「……、生きてると、思いますか?」
「思わない。俺も、ずっと死んでるから」
「じゃあ聞かないでくださいよ…、」
心なら昨日から死んだままだ。
今後生き返ることはあるんだろうか。前みたいに、翔斗の話を笑って誰かに話せる日が来るだろうか。
「紘菜ちゃん、今日なんか用事ある?」
「え?」
「今日の放課後。空いてない?」
重くなってしまった雰囲気を断ち切るように三琴先輩が言った。首を横に振れば、「じゃあさ、」と彼は言葉を続ける。
「甘いの好き?」
「好きですけど……、」
「失恋には甘い物が効くって言うじゃん」
「そうでしたっけ」
「や、わかんないけど聞いたことない?俺だけかなぁ…けどまあとにかく甘いやつ。食べに行こうよ」



