ずるいよ先輩、甘すぎます








「あ、大槻さん上がる時間になった。おつかれさま」



店内にかけられた時計に目を向けた真渡くんが言う。




時刻は20時。

今日は珍しく私と真渡くんの上がる時間は時間差で、真渡くんは21時までシフトが組まれているらしい。




「大槻さん明日もシフト入ってたっけ」

「いや、休みだよ」

「あ、デートか。なるほど」

「…何も言ってないんだけど」

「大槻さんが土曜日いないなんて珍しいじゃん。生憎俺は察しがいいからさ」

「…はあ……、」



そこまでくるともう才能だ。

真渡くんは色々と察しすぎていると思う。



ニコニコと笑って手を振る真渡くんに「おつかれさま」と言って事務室にむかい、タイムカードを切って足早にお店を出た。