「大槻さん」 「あ、ちょっと私はそろそろトイレ掃除に」 「ハイ残念でしたー俺がさっきこっそりやってまーす」 「ぐぬ…」 「つかあと5分じゃん。今日くらいその5分俺に頂戴よ」 「今日くらいってなに?いつもあげてるじゃん」 「あれーそうだっけ?」 ───文化祭から1週間がたった、金曜日の夜のこと。 今日も今日とてアルバイトに勤しむ私と真渡くんは、恒例のことながら客足の少ない店内でそんなやり取りをしていた。