「あー…もうすぐ花火上がる時間になるね」




18時25分。



話しているうちにあっという間にそんな時間になっていたようだ。

遠目で見つめるグラウンドは相変わらず生徒たちが溢れかえっていて、花火が上がるのを心待ちにしているように思えた。





「もっと良く見えるとこ行く?」



この場所からも花火は見えなくはないが、もっとグラウンドに寄った方が見えやすいということは確かだ。




「…いえ、ここがいいです」

「そ?俺は全然いいけど…」



けれど私は、三琴先輩の言葉に首を振った。





「……まだ、二人でいたいので」




いつからこんなに我儘な女になったんだっけ。



かつて恋をしていた時に、物分かりが良くてあまり可愛げのない自分を後悔していたからだろうか。



"かわいい女の子"でいたいと思うようになった。

自分の気持ちをちゃんと伝えられるような、素直な女の子になりたいと思った。