「一回、紘菜ちゃんの教室に行ったんだけどいなくて。そしたらたまたま、教室に窓から紘菜ちゃんっぽい人が見えた」
「えっ、すみません…教室に居ればよかったですね」
「いや、いーのいーの。連絡しないで勝手に探したの俺だし」
私の教室は3階にあって、たしかに窓からグランドを見渡せるようになっている。
そのことはすっかり頭から抜けていたので、三琴先輩が気づいてくれてよかったな、と内心ほっとした。
それにしても本当に、連絡を入れてくれたら、私が教室まで行ったのに。
三琴先輩はどうしてわざわざ手間のかかることをしたのだろう…と、そんな疑問を抱く。
「なんか、…見つけてあげたいって思った」
「え?」
私の心の声に応えるように先輩が言った。
視線を彼にうつすと、暗闇の中、先輩のまっすぐな瞳と目が合った。
「紘菜ちゃんとの運命、信じてみたかったんだよね。俺が、紘菜ちゃんを追いかけたかった」
「…っ」
「…って、キモイね俺、ごめん」



