時々、先輩はエスパーなんじゃないかと思う時がある。
私の心の声がきこえたかのように欲しいと思っていた言葉をくれたり、会いたいと思ったタイミングで現れたり。
私は単純で、だけどちょっとだけ乙女だから、こういうのをすぐに“運命”だと呼んでしまいたくなるのだ。
「先輩……、」
「待たせてごめんね、寒かったよね」
三琴先輩はそういって私のもとに来ると、膝の上で握りしめていた両手に自分の手を重ね、やさしく包み込んだ。
「冷えてんね」と申し訳なさそうに眉を下げた先輩に、私はぶんぶんと首を横に振る。
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