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ミスコンが終わり、エナちゃんは寛太先輩に想いを伝えに行った。
三琴先輩のことは、ステージ上で喋る姿を見ただけで、その後は何処に行ったか知らない。
ミスコン後に春先輩と約束していることは知っているけれど、待ち合わせ場所がどこだとか、何時に約束しているとか、そういうのは何も聞いていなかった。
不安な気持ちが募る。
恋はまるでジェットコースターだ。
エナちゃんに何度も背中を押されて、真渡くんにアドバイスをもらって、今度こそ大丈夫、ヒロインは私…と、言い聞かせてきたはずなのに、気持ちはやっぱり落ち着かない。
結局、一番の安心材料は三琴先輩であり、先輩からもらう言葉と愛がないとどうしようもないような気もしているのだ。
恋はそういうものだと、三琴先輩と付き合ってから知った。
ひとりは寂しい。心細い。
三琴先輩、はやく戻ってきて───…
「───…紘菜ちゃん」



