私も、かつて好きだった幼馴染――翔斗とこうなりたいと思っていた。
お似合いだといわれたかった。
「翔斗くんには紘菜しかいないよね」って、誰かに認められたかった。
あの頃の私はただ漠然と恋にあこがれていて、翔斗を失わないように必死だった。
けれど、好意を抱いていたのは私だけで、勇気を振り絞った渾身の告白は玉砕。
初恋はあっけなく終わりを告げた。
つらかった。苦しかった。
こんなふうに傷つくくらいならもう恋なんてしたくない。餃子を食べてもラーメンを食べても、満たされるのは胃袋だけ。
けれど───…そんな私をまるごと抱きしめてくれる人が現れた。



