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(三琴先輩まだかな……)
にぎわうグラウンドから少し離れたところに位置するベンチに腰を下ろし、通知のこないスマホを握りしめては、電源をつけたり消したりして時間を確かめる。
時刻は18時を回ろうとしていた。
後夜祭の花火は18時半からの予定になっている。
ミスコンを終え、軽音楽部のパフォーマンスがついさっき終わった。体育館から一斉に生徒たちが出てきてグラウンドに向かっていく姿をみつめる。
花火があがる18時半までの間は、告白タイムになるらしい。
グラウンドにいるカップルの中に、エナちゃんと寛太先輩もいるんだよなぁー…と、遠目で見つめながらぼんやりと思う。
秋もすっかり終わりに近いこともあって、この時間はすっかり日は落ちていて、ブレザーを着ていてもすこし肌寒い。
ぶるっと小さく震え、カーディガンの裾を伸ばして両手を覆った。
三琴先輩は、まだ、来ない。