「椎葉って、椎葉 春?いやー三琴、それ言えるのお前だけだって。高嶺の花じゃん、俺らのことなんて眼中にもねえよ」
「や、そうじゃなくてさ、…うーんなんだろ、だれにも見せてない一面がありそうっていうか」
「じつは腹黒とかそういうこと?」
「逆だよ。高嶺の花とかさ、周りが持ち上げてるだけで本人は喜んでない場合がほとんどだろ。…それも含めて、椎葉のことはちょっと気になるかも」
椎葉は私の名字だ。
古賀くんと話したのなんて数える程度で、記憶に残るような会話をした覚えがなくて、ただただ彼の言葉が信じられなかった。
けれど、でも、古賀くんが私の顔じゃない部分に興味を持ってくれたのが純粋に嬉しかったのだ。



