つらい。しんどい。
ずっと心が泣いている。
「エナちゃん、私今ならパフェ5人前食べれそう」
「昨日の餃子だって半分くらい無駄にしたのによく言えたねそれ」
「昨日の記憶は消したよ」
「バカじゃん……しっかりしてよ紘菜」
上靴に履き替え、呆れたようにため息を吐くエナちゃんと肩を並べて教室に向かう。
1年生が4階、3階が2年生、2階が1年生に、教室は配置されている。
若いとは言え毎日階段を登るのは辛い。
エレベーターとか欲しい。
「全部忘れて幸せになりたいよ…」
「そうね」
「あー…ここら辺に幸せ落ちてないかなぁ……」
「てか、昨日と言えば三琴先輩が───」
1階分の階段を登りきった時、エナちゃんの言葉が不自然に途切れた。
3年生の教室がある階。
階段を登りきって見えた先には───春先輩の姿があった。



