「まあ幸せそうならなにより」
「、真渡くんに言われるのはなんか癪」
「冷たいなー」
「はあ。私もう行くか、らっ」
───ズンッと肩に重みを感じた。
突然のことに語尾が不自然に乱れる。
目の前にいた真渡くんが、私の肩越しにいるであろう人物をみて「ははーん?」なんて言って口角をあげている。
「こんなとこで道草食って何してんのー」
「、え、っ」
大好きな香り、大好きな声、
「み、三琴先輩っ」
───大好きな人。
私の肩に手を回した三琴先輩が、「おそいよ紘菜ちゃん」とすこし拗ねたような口調で言う。
いやかわいいんですけど……って、ちがう、それよりも。
「せ、先輩、このひとは…」
「あ、俺はただのバイト仲間の真渡です。大槻さんの下の名前も最近まで知らなかったような浅い関係なので大丈夫ですよ、先輩。ちょうど連れもトイレから帰還したので俺は行きますね」
「え、真渡く、」



