ずるいよ先輩、甘すぎます










「やっほー大槻さん」

「げ」

「いやいや、何そのあからさまに嫌そうな顔。ウケる」




三琴先輩との待ち合わせ場所に向かう途中で会ったのは、バイトの制服ではなく私服を着た真渡くんだった。



バイト歴はお互い長いけれど、コンビニ以外で会うのは多分初めてだ。



なんでいるんだ……と思ったけれど、そういえば「遊びに行くからね」みたいなことを言っていたような気もしなくない。





「来ちゃったわ」

「ひとりで?暇なんだねホント」

「いやいや、友達と。来て早々友達がジュースぶちまけちゃってさぁ、いまトイレ行ってる」




たしかに、すぐそこにトイレがある。


なるほど、ここで会ったのは単なる偶然だったということか。聞くところによれば、つい15分ほど前に来たばかりらしい。



せっかく来たのに服にジュースを零してしまうなんて、お友達さん、相当不運な人だな……。