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いつも通り制服に着替え、お化けメイクを落としたあと、エナちゃんが「文化祭だし気合入れよ」といって、いつも自分でするときより濃い化粧をしてくれた。
エナちゃん好みの“強い女”仕様だ。
私は見た目まで強い女を目指しているわけではないからその化粧が似合っているか心配だったけれど、エナちゃんが「似合う」と言ってくれたので 多分、一般的に編ではないのだと思う。
「そういえば、ミスコンの中間速報出たよ」
化粧ポーチに道具をしまいながら、エナちゃんが思いだしたように言った。
「どこ情報?」と聞けば、「寛太先輩からメッセージきてた」と当たり前のように返される。
「ミスの1位は春先輩だって。2連覇かなぁ」
「あー…だね」
春先輩は誰もが認める美女だ。
"楚々"が良く似合う女性。
そんな学校のマドンナの恋する相手は私の彼氏。
ミスコンの話になると、やっぱりこの事実が私に焦りをもたらしてくるのはもはや仕方のないことだった。