───と、そんなことを考えていると。




「紘菜ちゃん」




三琴先輩が、今日何度目かの名前を呼んだ。


先輩に呼ばれるたびに、自分の名前がより一層好きになる。

好きな人に呼ばれる名前は、まるで魔法にかけられたみたい。





「俺も、好きだよ」

「っ、」

「つか絶対俺の方が好き。紘菜ちゃんの困った顔も泣き顔も、笑った顔も全部、死ぬほど好きだから」

「え、せんぱ、」

「あと、結構独占欲強いのかもって最近気づいた。覚悟してた方いーかも、ね」






ホント─── 一生解けそうにない恋の魔法をかけられてしまった。