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「じゃあ、また学校でね」
結局、そのあとは三琴先輩に送ってもらって家に帰った。
またね、と言われ、明日も学校で会えるとわかっていても寂しさがつのる。
繋いでいた手をなかなか離さない私を不思議に思った先輩が「紘菜ちゃん?」とのぞきこんできた。
突然視界を埋めた綺麗な顔。
びっくりして肩を揺らすと、そんな私のくちびるに、先輩は触れるだけのキスを落とした。
「そんな寂しそうな顔しないでよ。帰りたくなくなんじゃん」
「…っ、」
「あんまりかわいー顔されると けっこうやばいからさ、ね」
あああー……無理、好き。ずるい。
三琴先輩って、なんかこう…中毒性があるというか。ハマったら最後、ぜったい抜け出せない。
三琴先輩がプレイボーイだったらきっともう、彼と出会った女の子全員死んでいると思う。
すこしヘタレでよかったー…と、くちびるに残る温度を感じながら思った。



