ふたつめーーー家が近いこと。
私の家の3軒隣に翔斗の家がある。学校に向かう方向的に、翔斗はかならず私の家の前を通るわけで、だ。
翔斗が'あの子'のものになる前から昨日まで毎朝一緒に登校していた私たちが 意図せずとも同じ時間帯に家を出てしまうのは、ある意味必然だった。
「…あ、紘菜」
「……翔斗」
「……」
「…お、おはよ」
「…おう」
「あ、じゃあ、私はもう行くので、……サヨーナラ」
これが今朝の会話。
最悪な時間だった。
翔斗から逃げるように私は早歩きで学校に来た。
おかげでいつもより8分も早く学校に着いた。