ずるいよ先輩、甘すぎます








「紘菜ちゃん」



席を立った先輩が私の前にしゃがみ込んだ。

恥ずかしくて目を合わせるのもしんどい。先輩の瞳から逃げるようにぎゅうっと目をつぶる。




三琴先輩と触れ合うことを望んでいた。
キスがしたかった。



けれどそれは、ちゃんと先輩が起きているときに承諾を得てからしようと思っていたのだ。


気持ちよさそうに眠る先輩の寝顔があまりにもきれいで、愛おしくて。


それで、気づいた時には私は───…






「…不意打ちは困るからしちゃだめ、ね」




むに、と右頬をつままれる。


びっくりして目を開けると、先輩が困ったように眉を下げて小さく笑っていた。先輩の冷たい指先が、熱を帯びた私の頬に触れている。




「ほっぺ、真っ赤だよ」と言われ、さらに温度が上がった。