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「“善は急げ”よ」
エナちゃんにそう言われて、私は三琴先輩に連絡をしたのだった。
今日はもともと一緒に帰る予定ではなかった。
三琴先輩はもう進路が決まったから、もしかしら誰かと遊んでいるかもしれないし、もしくはもう家に帰っているかもしれない。
けれどもし、今日会えることになったら、すこし頑張ってみようと思ったのだ。
《三琴先輩、今どこに居ますか?》
《教室にいたよ。先生に頼まれごとされてた》
《終わったらそっち行ってもいいですか?一緒に帰りたいです》
《おっけ。まってる》
そんな短いやり取りをしたのが、つい30分ほど前の話。
ロングホームルームが終わって、私はエナちゃんに背中を押されてこの教室にたどり着いたのである。



