ずるいよ先輩、甘すぎます










3年生の教室がある廊下を通るのは初めてだった。



午後の授業がロングホームルームで、3年生にとっては自由時間だったこともあり生徒の姿があまりなかったことが幸いだった。



静かな廊下を渡り、3-Cのプレートがかけられた教室にたどり着く。



どきどきと音を立てる胸を落ち着かせうるように おおきく深呼吸をして、そっとドアを開ける。



入ってすぐ、視界に映ったのは、窓際の列の真ん中あたりの席で上半身を机に預けて眠る男子生徒の姿だった。