「まあでも、あれだね」 チラシを折っていた手を止めたエナちゃんが机に頬杖をついた。 「紘菜、すっかりヒロインだね」 「え?」 「美人のライバル出現ってさ。ヒロインらしくていーじゃん」 エナちゃんがふっと笑う。 敵はなるべく少ない方がいいけれど……と思いつつも、一生脇役にしかなれないと思っていたからこそ、ずっとそばで見てくれていたエナちゃんにそう言われたのが嬉しくて、つられて私も笑った。