三琴先輩と恋人らしいことができていないと悩んでいたことはまだ解決したわけではなかった。



真渡くんやエナちゃんにそのことを相談した時から状況はなにひとつ変わっていない。


三琴先輩とは変わらずお昼ご飯を一緒に食べて、下校も一緒にしてはいるけれど、相変わらず指一本触れ合わないのだ。



まずは、どうにかしてこの状況を打破しなければ。



「弱気で消極的な女が可愛いって言われる時代はおわったのよ。成るべきは強い女」

「それ、エナちゃんの好みじゃん」

「そうだけど。三琴先輩くらいヘタレな人には強い女の方がバランス取れるじゃない」

「三琴先輩はべつにヘタレなわけじゃ、」

「なくないね。寛太先輩言ってたもん」

「エナちゃんの寛太先輩情報怖すぎるからぁ…」




エナちゃんと寛太先輩は本当に、一体どういう関係なのだろう。

常に最新の情報交換をしているみたいだけど……「“まだ”付き合っていない」らしいし。



私が知らないところで2人は密会しているんだろうか、とかそんなことを密かに思っている。