「もう逃げないって決めたよ」

「…、春先輩、」


「貴方が泣いても同情なんかしない。…だから貴方も、私に気は遣わないで。遠慮も無し。きっと貴方に沢山嫉妬もするだろうし、自分が三琴の彼女だった時にされて嫌だったことも、貴方にしちゃうかもしれないけど、悪く思わないで。……私、本気だから」




かつて三琴先輩にとってヒロインだった彼女からの宣戦布告。


こんな日が来るなんて思いもしなかった。




けれど、でも。

春先輩と同じくらい私も本気だ。



三琴先輩からも春先輩からも、向き合う前から弱気になって、不安になるのはもう終わりにする。


私が三琴先輩のヒロインになるんだ、絶対に。





「……私も負けません」





私の答えに、春先輩は満足したように小さく微笑んだ。