ずるいよ先輩、甘すぎます








「ごめん。…ニナ、ちょっとこの子と2人で話したいから、先に図書館行っててくれる?」





お友達さんの名前はニナというらしい。


春先輩が落ち着いた声で彼女にそう言うと、ニナさんは「…わかった」と短く返事をしてすぐにトイレを出て行った。




「あの、…大槻さん、だったよね」



前にコンビニで会った時に名乗った名字を覚えていてくれたみたいだ。こくりと頷くと、春先輩はゆっくりと口を開いた。




「ここじゃなんだから、外のベンチで少しだけ話さない?」

「…わかりました」




そう言う以外の選択肢はなかった。

前は私が一方的に話しかけてしまったから、春先輩と向き合って話すのは初めてだ。



春先輩に許可を取って、私はエナちゃんに『春先輩と会った。あとで話すから、先に学校戻ってて』とメッセージを送る。


エナちゃんからはすぐに『わかった。がんばって』と短い返信が来たので、既読だけ付けてスマホをポケットにしまった。