ずるいよ先輩、甘すぎます








言葉選びを間違えたかもしれない。



目をぱちぱちとさせた真渡くんが驚いたように「変なものでもたべたの?」と付け加える。変なものは食べていない。


ただ、もっと違う言い方ができただろうということは自覚していた。




……血迷った、完全に。




「……やっぱり なんでもない」

「いやいやいや。なんでもなくないでしょ」



いまお客さんが入ってきてくれたら いらっしゃいませ の言葉で話を強制的に終わらせることができたのに、とガラリとした店内を見渡して思った。




「大槻さんの悩み、当ててあげようか」

「……、」

「彼氏、手出してこないんでしょ」





やはり彼にはバレバレのようだ。

とは言え、彼の印象が“ただのチャラ男”から“意外とやさしいチャラ男”になったのも事実。





「…、そうだって言ったら、真渡くんは何を言ってくれる?」

「んー…同じ男として彼氏の気持ちを汲み取った上でアドバイスしてあげるかな」




私の質問に、真渡くんは柔らかく笑ってそう言った。